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「どうして、こっちがゴマ和えでこっちがゴマよごしなの?」
高校生の頃だっただろうか、母に質問したことがあった。
その時の返事は、ゴマ和えは白ゴマで、ゴマよごしは黒ゴマを使うのだという。
それから時が経ち、名のある料理屋さんでゴマ和えを頼んだところ、黒ゴマを使ったゴマ和えが出てきた。
どうして?お品書きにはゴマよごしとは書かれていない。私は聞いてみることにした。
すると今度は、
「本当はゴマ和えというんですよ。魚貝や肉は白ゴマで、野菜・山菜などは黒ゴマを使うんです。」
「では、ゴマよごしはどんな料理のときに使う言葉なのでしょう?」
「・・・・・・・・・?」
これは調べなければ気が済まない!ということになった。
謂われは多数ある中で、基本的には母が言っていたことが正しいとされているが、先の料理屋さんのおっしゃっていたことが一般的といわれているところもある。
だが、地方によっては醤油味が和えで、味噌味がよごしとされていたり、古くからゴマを食材としている精進料理も、宗派によって黒ゴマしか使わず、黒ゴマ和えという言い方をしている禅寺もある。
禅僧の健康を支えたのがゴマで、特に黒ゴマは長寿食とされていたという文献もあるようだ。
黒ゴマの栄養分は、数少ない総合的にすぐれた食材。
食の原点を生み出してきた、昔の人の先見の目はすばらしいの一言に尽きる。また、黒ゴマは漢方にも使われる黒大豆と同じ効能を持っているとも記されているようだ。
折に触れて、幼少から伺わせていただいている老舗料理屋のご隠居さんや、精進料理には詳しいお寺のご住職さん、また親戚の祖父母にもゴマのことを思い出すとたずねてみていたが、背筋がピンとなるほど貴重な大切な話を聞かせてもらった。
私の料理コンセプトの中に、「食の伝統に感謝」という言葉を、僭越ながら入れさせていただいている。
「食」を通しての人生の先輩方々からの、「食」への熱意と「食」の伝統や文化を正しく伝えたいという思い入れあるお話に、いつもながら受け継いで下さったことに感謝し、改めて日本の食文化を作った祖先の力には感動する。
最近では、ジャンクフードの再来と盛り上がり、コンビニ食は食卓に欠かせないといわれているが、「食」の伝統があったからこそ、今の私たちが生き長らえていると言っても過言ではないのだろうか?
「和え」・「よごし」も、日本ながらの「食」の表現、決して無くしてはならないと思う。
(2007.06.25)